昭和25年版を発刊
こんにち ただいま じんせい いま い ひと しめい 今日唯今が人生である今を生かすのが人の使命 |
||
新生活標語は昭和24(1949)年秋に「新生活カレンダー」と名付けて創刊されました。「新生活標語」となったのは翌昭和26年版からで、以来50余年にわたって発刊を続け、1700余りの心にしみる言葉を皆様にお届けしてまいりました。 |
||
「今日唯今が…」の標語は、昭和25年版の1日付けの言葉です。 昭和24年は、映画「青い山脈」が大ヒット。「フジヤマのトビウオ」と呼ばれた古橋広之進選手が大活躍し、美空ひばりさんが「悲しき口笛」でデビューした年です。 戦争が終わって4年目、焼け跡こそ片づけられたものの、政治的にも経済的にもそして社会的にもまだまだ混乱していました。 しかし多くの人が国を立て直そうという意欲に燃えていました。過去にとらわれず、何もかも足りない現状を嘆かず、「今を生かす」ことから明るい明日を築こうと努めていました。 |
そして昭和25年は、ヨーロッパではNATOやワルシャワ条約機構が結成されて、アメリカとソビエト連邦を頂点とする東西陣営が対立する「冷たい戦争」と呼ばれる緊張関係が始まり、一方アジアでは朝鮮動乱が勃発しました。 |
||
25年版の12日付けに、 こんな標語があります。 |
昭和25年版(左)と26年版の新生活標語 |
たいりつ こころ さ あいて き も あらそ 対立の心を去って相手の気持ちになれば争いはない |
||
黒澤明監督の映画「羅生門」が発表されたのもこの年でした。藪の中で起きた事件についてそれぞれに食い違う三人の証言。人間のエゴを見つめたこの映画は、翌年のベネチア国際映画祭でグランプリを取りました。 |
||
昭和25年(1950)1月には聖徳太子像が描かれた千円札が発行されています。 経済復興はまだまだでしたが、これまでなかった高額紙幣の登場は新しい時代への期待を持たせるものでした。千円札はその後、伊藤博文(昭和38年(1963))から夏目漱石(昭和59年(1984))へ、そして野口英世(平成16年(2004))が登場しました。 昭和24年に創刊された「新生活カレンダー」は評判を呼び、翌25年に発刊する昭和26年版は「新生活標語」と名を改め、大増刷することになりました。 |